昨日の日本経済新聞朝刊の1面に、太陽光発電施設の開発が小型発電所にシフトしていることを伝える記事が掲載された。
太陽光開発、小型シフト
双日、3年で3000カ所 再エネ普及へ重み増す https://www.nikkei.com/article/DGKKZO85194660T01C24A2MM8000/
太陽光発電施設はメガソーラーと呼ばれる大型施設が全国各地で開発された。メガソーラーは効率的な施設を作ることができ、発電容量当たりの単価が低く抑えられる利点があった。一方で、各地で開発を進めた結果、開発適地が枯渇しており、斜面地や山林を転用した無理な開発を進めた結果、水質汚濁や景観破壊の批判が集まった。山林の中にメガソーラーのソーラーパネルが並ぶ光景は悪目立ちしてしまい、SNSでは自然破壊の象徴のように扱われることが多い。自治体の規制も厳しくなり、メガソーラーの新規立地を不可能にする自治体まで現れている。
こうした社会的環境の変化に対応し、事業者は小型の太陽光発電所へシフトし始めている。小型化の動きは既に数年前から出ていて、新規開発だけではなく、既存の小規模太陽光発電所を取得する動きも加速している。
小型発電所の場合、小さいものが分散するため一つ一つの発電所の収入は小さくなる。そのため、維持管理面ではメガソーラーのように1か所で効率的に作業を行えず、多数の発電所に出向く必要があり、効率が悪化するというデメリットがある。もちろんITを駆使して監視や検査をある程度行うことは可能であるが、物理的な補修は人手に頼らざるを得ないため、IT化の効果は限られる。
少し前まで、我々が所属する日本資産評価士協会でも太陽光発電施設の健全性調査を全国ネットで受託する検討が行われていた。メガソーラー批判が渦巻いているが、メガソーラーよりも規制が緩い小型の施設は一目見ただけで危険な施設もあり、地域に根差した視線で適正化に貢献できればと思っていたが、現状では放置された状態になってしまい、残念ながら出番がなかった。
環境面、あるいは電気の専門的なインスペクションは不可能であるが、設備の構造については研修で学んでいたので、どこかで活用することができる機会ができればいいと思っている。
話が脱線してしまったが、小型化の動きは開発がしやすくなるという話で、小型の施設はメガソーラーのような規制がかからないケースもあり、粗雑な施設が身近に作られてしまう危険もある。近年は新規立地にアセスメントが要求されるようになったため、近隣住民がどうにもできないような事態にはなりにくいとは思われる。再生可能エネルギはまだまだ増やしていく必要があるが、現状の日本では太陽光発電にある程度頼らざるを得ない。なるべく不利益が出ないよう、適正な新規施設の開発が行われることを願ってやまない。
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