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執筆者の写真Frontier Valuation

昔の名前で出ています⁉ ~名前以外は別物かも

更新日:2024年11月15日

 先日、ネット検索していたら、Youtubeに掲載された中古パソコン販売に関する動画を検索エンジンがしつこく勧めてきた。あまりにも何度も出るのでついに見てしまったのだが、

 ある事業者の中古パソコンの販売方法の問題点を指摘する動画で、古くて現状では性能的に厳しいパソコンを、パソコンの心臓部で価格にも密接に関係があるCPUについて詳細な説明を説明せずに、相場より高値で売っていると主張であった。  確かに、パソコンのCPUは「インテルCorei7」といった名称が長い間使われているのは周知の事実である。つまり、古いパソコンのCPUと最新機種のCPUの名称が同じではあるのだが、一見、同じ名前でも購入する時期によってその性能が大きく異なるので、CPUの型式を詳細にチェックしなければその価値を見誤ってしまうと解説されていた。  自動車や家電を見ていると次々に新しい製品が世に送り出され、そのたびに新しい名称がつけられたり、製品名にバーションが明記されたりしているものが多い。一般のコンシューマー向けの製品は商品の新規性をアピールするためだろうか、古い製品と差別化するために製品を一意に特定することができる名前が与えられる。  一方で、特にBtoBの産業用機械では数十年同じ名前で販売されるものも多く、型式名も容量や能力を表す数字が付されてあくまでも、能力や機能の分かりやすさに主眼が置かれたネーミングであると感じる。どういった層をターゲットに販売していくのかというメーカー側のマーケティング戦略の違いなのであろう。  産業用の機械を購入するのは機械のことの精通したプロが多く、余分なプロモーションにかける費用はいらないということであろうか。その理由は定かではないが、生産台数が少ない機械の方がその傾向が顕著であるように思う。  ネット動画を見て「なるほどな」と思ったのは、業務の中でも同じ問題を意識することが度々あるからである。  以前、30年前に購入した工作機械を改造するという話があり、改造した場合の価値はどうなるのか、見解を求められたことがあった。  メーカーに聞いたところ、30年前に購入したというその工作機械は現在も同じ型式のものが販売されているとのことであった。しかし、特に機械を制御するNC装置は全く別物で性能的にも今のものと昔の物では異なるということであった。そもそもNCのOSが異なり、昔の機械はWindowsNTがベースであるが現行品はWindows11がベースというようなものであった。  WindowsNTの時代とWindows11の時代ではおかれた環境や求められる機能も大きく異なる。電話回線でピーヒャラ音が出るモデルを使っていた時代と、無線、光回線で大容量のデータをやり取りできる時代のものが同じであるはずがない。コストや実現性の問題があるが、そこがクリアできるのであれば、改造によって価値が大きくアップすることは間違いないだろう(どのように回答したかは割愛)。


 これほど大掛かりな話は珍しいが、例えば20年前に購入したのと全く同じ機械を購入すれば、使い慣れた機械だから試運転、試作の手間も省けるというような話なら割とあるのではなかろうか。しかし、メーカーの人にヒアリングした結果では、そんなにうまくいくわけではないようである。

 機械は日進月歩に部分もあるが、基礎的な原理や構造ははるか昔に確立していて、インターフェイスの部分は進歩しても、コアの部分は変わらないというようなものも思いのほか多く、中小のメーカーなどは数十年にわたって同じ製品を販売しているケースも少なくない。


 しかし、そのような場合でも使用する部品や部材は時代ごとに変化しているのだそうである。機械メーカーはすべてを材料から救るわけではなく、メーカーに部品を納めるサプライヤーのメーカーがあって、その部品メーカーが部品の仕様を変えれば、新しい仕様の部品を使うことになるし、部品のサプライヤー自体が変わることもありうる。

 そして、部品の仕様が変わると微妙に機械の特性も変化することもあるようだ。

 このため、機種や品番は同じものであっても、数十年前に生産されたものの完璧なコピーではないのが普通で、特にここ数年はインフレ傾向や部品の供給難が相次いでいることから、使用する部品や資材の変更も多いのだという。機械の特性の変化にセンシティブなものを生産していれば、影響が出てくるだろう。


 また、いくら大量生産品と言えども、すべてのものが全く同じという訳ではなく、微妙な個体差は出るというオペレーターの意見も多い。その辺の癖を見抜いてうまく調整するのもオペレーターの腕なのだそうだ。以前、国際線のパイロットの著書で読んだのだが、航空機メーカーの厳重な品質管理下で生産された旅客機であっても微妙に個体差があって、一機一機癖があるのだそうだ。  こうした微妙な”癖”といったものは評価をやるうえで、定量的にどこまで価値に織り込めるかは非常に難しい部分もある。「ピンときたから5%アップ」「エイヤッ!でマイナス10%」という訳にもいかないのである。誰がどんなにやっても使用に悪影響が出てしまうようなものではさすがにマイナスとなるだろうが、オペレーターの腕でカバーできるような要因まで数値にするのはよほどの証拠がなければ至難の業だろう。


 いずれにしても大切なのは物の価値を図るための情報は丁寧に集めて判断した方が妥当な根拠に行きつきやすいので、適切に情報を集めて判断することが重要ということである。

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