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執筆者の写真Frontier Valuation

シンカンセンスゴイカタイアイスを売ってたカートの第2の人生

旧TwitterのXを利用しているが、先日、タイムラインに興味深いポストが流れていたのでリポストしてみた。 そのポストというのが、昨年秋まで東海道新幹線の車内販売で使われていたカートが、JR東日本の特急「あずさ」で使われているのだという。投稿主の方が車内販売のスタッフに確認し、さらにJR東海の関連会社が車内販売のカートをインターネットで販売した時のポストまで貼り付けているから、評価人から見ても非常に「いい仕事」をしている。ちなみに、JR東海が販売した価格は10万円で、50台販売されたということだから、全部売れたとすれば500万円である。

車内販売の廃止で不要になったカートを処分するとなると一般的にどう考えるだろうか(そんなこと考える機会がないから分からないと言われるかもしれないが)。大抵は使い古されたもので売れるわけがないから廃棄処分という方向に進んでいくのではないかと思う。しかも、最近は人手不足で、特急列車の車内販売は次々に消えているから、なおさら中古需要はないと考えるのが普通であろう。とはいえ、鉄道の場合はコアなファンが多く、部品などを盗む「盗り鉄」という悪質なファンもいるというから、50台くらいは売れるかもしれないと思うだろうが、車内販売のカートは座席1列分くらいの長さがあり、一般家庭では実用的ではなく、果たして売れるだろうか?おそらくそんな”市場分析”になるとは思う。 しかしながら、同業他社で本来の用途のまま使われているのだから、かなり意外である。つまり、本来の用途での市場価値はあったということになる。 勿論ずっとその価値が維持されるかと言えば微妙で、たまたまいいタイミングで出てきたものを同業他社が購入したのかもしれない。人との出会いも縁だが、物との出会いも縁であり、なかなかタイミングよくとはいかないことも多い。 会計がらみの評価でマーケットアプローチを適用すると「本当に売れるのか」「売れることを証明せよ」と質問が飛んでくることがあるが、それを証明することはほぼ不可能と言ってよい。 逆に「売れそうもない」という想い込みでゼロ評価を付けてしまうのも考え物である。物にないする需給関係をすべて明らかにできるわけではないが、わからないからと言ってゼロを付けてしまうのも危険である。 この辺りが、評価を行う際にいつも苦しむところである。 工場一括の評価の場合は大抵資産台帳をベースに評価を考え、取得価額の大きい物や経年が浅くある程度価値が認められそうなものを優先的に評価していく。すべてを評価すると言ってねじの一本一本、机の中のペンを一本一本確認していては埒が明かない。ただ、単価が安いもののある程度数がまとまったものには注意しなければならない。単価が安くても数量が多ければ、総額としては大きなものになる。少額、多量のものが評価額を押し上げることはあり、減損損失の判定で大きな役割を果たすことも実際にあった。 10年以上この仕事をやってきたが、当初に比べて物の入手がだんだん難しくなり、流通が混乱する場面も増えてきたと感じる。グローバル競争にさらされた製造業が疲弊しているのは日本だけではなく、世界を見ても似たような状況である。 そうした経験則を踏まえると、わずか140文字のポストも有益な情報であったりする。


台湾高速鉄道の車内販売
台湾高速鉄道の車内販売。台湾ではまだ社内販売が健在だ。

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