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Hideyasu Matsuura

合金の材質の知識

 米国鑑定士協会(ASA)の機械設備評価人の資格には基礎講座(POV)を受講したり、レポート審査に合格すること、実務経験を積んでいることなど、いくつか要件がありますが、理科系の学歴があることは要件とされてはいません。  評価と言っても、会計的な側面から見た金銭的価値についての評価になりますので、全てが工学系の分野で完結するものではなく、むしろ文化系の素量が必要とされる部分も多いのです。  とはいっても、全く理科系の知識がないと理解出来ないこともあります。文化系特に不動産分野から儲かりそう、面白そうだとこの世界に身を転じた人もいらっしゃいますが、理科的なことに興味がない人には苦痛に感じることも多いのだそうです。  分からないことは知識のある人から教わるのですが、知っておいた方が良い知識のひとつとして金属の材質の話があります。  機械、あるいはいろいろな製品に金属は使われていますが、用途によっては強度が求められたり、金属の宿命である腐食(錆)しないことが求められたりすることがあります。    このため、同じ金属でもいろいろな材質のものもあります。ものによっては高価な他の金属を混合するが故にコストが上がってしまいますので、用途やかけられるコストによってどんな材質の金属を使うかを決定されているのが現状です。    金属の材質には規格があり、日本では日本工業規格(JIS)、国際標準化機構によるISO等がよく知られていますが、金属もこうした規格により材質の成分などが決まっています。


 例えば、アルミニウムの場合、1000系、2000系、5000系、6000系、7000系といった規格があります。アルミニウムは軽く、柔らかく、腐食にも強いという特徴を持っており、純アルミニウムの1000系がこの特徴を有していますが、ジュラルミンとして知られる2000系、強度が要求される船舶や航空機には、マグネシウムやケイ素を含んだ6000系が使われています。


 ステンレスは鉄と10.5%以上のクロムを含有した錆びにくい金属ですが、ニッケル、モリブデンなどをも含有して耐食性をアップさせたオーステナイト系と呼ばれる材質もあります。ニッケル、モリブデンなどは高価な金属ですからコスト的にもだいぶ異なり、オーステナイト系のSUS304にと同じクロムを18%含有するSUS430とではスクラップ価格が桁ひとつ違うといったこともあります。

 ですから、特にスクラップ価値を検討する場合にはこれらの知識を持っていると有利です。  これらの知識はセミナーで見たり、クライアントの現場をよくご存じの方にお話を伺ったりして、そこからいろいろ調べたりして集めました。  とはいえ、材質というのは金属ばかりではなく樹脂なども同じような分類がありますので、深く突っ込むと言うよりは浅くても良いから広く知識を得ることが必要で、疎遠になっている分野のものについては忘れてしまったりといったこともあります。  どの分野でも専門家は居てもなかなか専門の分野の外のことまで知悉している人はほとんどいないと言うのが今までの経験から言える印象ですが、横断的に広く知識を持っていて上手くアセンブリ出来る能力を持った人(コンシェルジェ等と呼ばれますが)、がいろんなところで必要とされています。


 公正価値評価の軸を元に幅広い分野の調整役ということで資産評価士がお役に立てれば、もっといろんなことが出来るかもしれません。


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