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ロボット活用の最新事情

Hideyasu Matsuura

 お付き合いのある金融機関の方からロボットの活用に関するセミナーが開催されるということでお誘いを受けました。 評価の仕事で機械設備に係わってはいますが、設備投資を行う立場ではないので、私が受講してはやや的外れなのではないかとは思いましたが、強く勧められたので受講してみることにしました。


評価においては再調達できる物との比較が大切

 機械設備の公正価値評価は、再調達可能な評価対象物と同等の物との比較を行うというアイポイントが欠かせません。ですから、絶えず評価対象となる機械や設備の最新情報を集めておく必要があります。


比較的大きな物件が対象となることが多い

 日本では機械設備の公正価値評価は一般的ではないのですが、それでも最近は企業会計のグローバル化や時価主義の一部導入、M&Aの活発化で、株主や利害関係者への説明責任が重い大企業ではご利用戴けるようになりました。但し、中小企業においてはコスト優先の考え方が強く、ご依頼いただく機会が少ないため、自ずから大企業向けの機械設備が評価対象になることが多いというのが現状です。


産業用ロボットから協働型ロボットへ

 比較的大きな会社の工場の機械・設備にはロボットが対象に含まれることもあります。

 製造現場では生産性の向上も大事ですが、あくまでもそれは安全という全体があっての話です。ほとんどの場合、そうした大きな工場のロボットは人と接触しないよう、防護柵の中で動く大型のものが設置されています。  当然機械価格も高いのですが、それ以上にシステムインテグレーション(用途に合わせた設置・設計・調整など)に高いコストがかかっています。ですので、ロボットというとそんなイメージを持ってしまいがちです。  ところが、協働型ロボットは機械本体価格が安価な上一定の安全を確保した上で防護柵が不要になるなど、設置場所や設置コストのハードルが下がり、中小企業にもチャンスがめぐってきました。


設置コストの低減も

 ロボットを設置する場合、作業環境に合わせた位置合わせや動作のセッティングが必要になり、このために長い時間と多額のコストが必要になっていました。ここでもイメージセンサー技術やAIを駆使して開発期間の短縮が可能となっているとのことです。  機械設備評価の観点からいえば、ロボットは設置状態のまま継続使用が可能であれば設置コストに価値を認めることは可能ですが、使用をやめ機械単体で売却などの処分を行うこと場合には設置コストは除外して考えることになります。場所を動かして多用途に使う場合には、また1からセットアップする必要があるからです。  また、従業員の技能をロボットにティーチングできれば、測定しづらい無形資産である技能を機械設備の資産価値の一部としてオンバランス化することも期待できます。  中小企業では時価評価実施の可能性は少ないですが、特にM&Aの場面で適切なバリュエーションを行うのであれば、売手側にとって有利な運びになることも期待できます。

主役ではないが注目すべき分野

 ロボットは一括の集合資産の中では必ずしもメインになるものではありませんが、かといって存在を無視できるものではありません。特に評価シナリオ如何によっては公正価値を上下する大きな要因になるものですから、その動向には注目すべきで、協働型ロボットのメリットが従来型の産業用ロボットにもフィードバックされるなどで影響がでるようであれば、超過資本コストや機能的退化なども考える必要が出てくるでしょう。


 コロナ禍で設備投資は鈍りがちのようですが、今後の労働生産人口の減少等も考慮すると投資のタイミングとしては逆に今がちょうどいい時かもしれません。


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