今朝(12月8日)の日経新聞13面に各地で工場火災が相次いでいることが報じられている。 続く工場火災、4年で22件 日鉄は愛知でも発生: 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ074X20X01C20A2000000
大規模な工場施設での火災は従業員の安全や、生産の停滞といった形で企業に打撃になるが、マーケットシェアの高い製品の生産施設で生産が停止すると、供給網に影響が出て多数の企業に悪影響が出てしまう。 火災の原因としてはメンテナンスを行う専門技術者の不足に加え、施設の老朽化も一因と見られているようだ。かつて、機械設備評価の評価人養成講座に参加した際、機械設備評価の経験がある人から、「(経年)30年くらいの機械はザラにありますよ」とアドバイスをいただいたが、実際に評価を受託してみると30年どころか、50年以上経過した評価対象を相手にすることすらあって、アドバイスを改めて反芻するような思いに駈られたことがある。 特に大型のプラントは複雑で建設に多額の費用や時間を要するため、同じものを再調達しようとしても容易ではなく、経年の機械であっても他の企業から引き合いがあることも珍しくない。記事にあるように再調達のコストが上昇し、しかも人口減少という背景があれば、企業が設備の再投資に慎重になるのも当然である。一方で、生産の継続を考えるといつまでも高経年の設備に依存することはできない。大型設備を持つ企業は厳しいジレンマに直面していることは間違いないだろう。 解決策としてAIなどデジタル技術を活用した設備のモニタリングに重点が置かれているようだ。仮に異常があってもその兆候を見つけて予防できれば少なくとも事故の発生は防ぐことができる。 少し前に、物理的劣化(残存耐用年数)と経済的退化(残存耐用年数)の関係について、修繕コストの見合いで物理的な残存耐用年数も経済的な要因の影響を一定程度受けるのではないかという説をこのコラムで発表したが、超大型プラントでは再調達コストが高額ゆえ、物理的な残存耐用年数が長くなる傾向があるのかもしれない。 もっとも製造効率や機能的な限界のことを考慮すると青天井というわけではなかろう。 評価のサイドでもAIの技術を用いて残存耐用年数を考えなくてはならないかも知れない。
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