5月の連休中に時々顔を出しているネットワークでZoom会議が開催された。そこで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に配慮したコミュニケーションが話題になり、私は完全に乗り遅れたが、メンバー有志がプロジェクトを立ち上げた。
マスクをしてのコミュニケーションではなく、顔が見えるコミュニケーションを実現するために簡単に作れる飛沫防止パーテーションを作り、普及させる「Amy Project 笑顔を見られる飛沫防止パーティション」である。 まずは試作品を作り、使ってもらえる人を探して欲しいと言うことになったので、私も知り合い5人ほどに意見を聞いたみたのだが、いずれも酷評でとても奨められる雰囲気でないという残念なことになってしまった。物だけでなく、事業のやり方にも厳しい意見を戴いたが、中心メンバーでもないので強く意見を言うこともできず、その後は"ココロで応援"の状態になってしまった。 とはいえ、個人的に興味を惹かれたのは、製品の仕様を公開していろんな人に作ったり使ってもらおうという「オープンソース」の考え方である。
■オープンソース
オープンソースとはWikipediaによれば「オープンソース (英: open source) とは、言葉通りのソースコードへのアクセスが開かれている(ソースコードが公開されている)ことを意味するのではなく、ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないソフトウェア開発の手法を意味する。オープンソース・イニシアティブ は、「オープンソース」と名乗るための要件として「オープンソースの定義」を掲げている。」とされている。もともとはソフトウエアの概念ではあるが知的財産という共通点をピボットにすればソフトウエア以外にも適用は可能であろう。
利潤優先で考えればオープンソースはあまり有り難くない考え方であるし、インターネット草創期のNetscapeやWindowsの独占のアンチテーゼとして生まれたと言われるLinuxなどのように期待はされながらも結局マーケティングに長けた巨大企業には太刀打ちできなかったというのが現実である。(但し、LinuxについてはLinuxカーネルをベースとしたAndroidやChoromeOSが誕生しているが。)
それ以外にもOSの世界ではTRONの存在も忘れてはならない。IT社会の急激な進展はTRONの存在が大きいと言われる。ITの世界で巨大な利益を上げているのはGAFAであるが、日本生まれのTRONがなくてはIT社会は成り立たなかっただろう。
■ファブラボ
オープンソースのやり方が果たして正解かどうかは分からない。とはいえそうした動き広がりつつあることは確かである。その中で知ったのが「ファブラボ」である。 ファブラボの日本語のコミュニティのサイトでは次のように解説されている。
ファブラボは、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房のネットワークです。個人による自由なものづくりの可能性を拡げ、「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指しています。
簡単に言えば、工作機械を共有して新たなものづくりを行うネットワークである。
もちろん、工作機械といってもジェット旅客機や自動車を作れるようなものではないが、大量生産向きで高価な工作機械をシェアすることによって小規模な製品生産でも高品質なものづくりが可能になるチャンスができたということであり、画期的な取り組みといえる。 また、ファブラボに関連するプロジェクトとしてFabCommonsがある。FabCommonsは共創の社会基盤を作るためのオープンソースと知的財産との兼ね合いを模索するプロジェクトということである。知的財産の独占により収益を上げることを第一とするのではなく、社会の発展のためにあえてアイディアを公開することもひとつの選択肢になってきているといえるのではないか。
これらを突き詰めていくと、なんのために働くのか、なんのために利益を求めるのかという本質的なことにまで行き着く。
ただ、そんな難しいことは抜きにして、身の回りのこまったことを解決したり、身近な空間を快適にできるツールを作る手段が入手しやすくなりつつあることは確かである。
フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰
Opmerkingen