脱ハンコの動きが出てきた
- Frontier Valuation
- 2020年5月29日
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28日夕方に掲載された産経新聞の記事によれば、飲料大手サントリーホールディングスが、業務のペーパレス化を進め、紙の押印省略などの電子決裁を段階的に導入していくことを明らかにしたという。 サントリーが押印業務を省略へ (産経新聞)https://www.sankei.com/economy/news/200528/ecn2005280040-n1.html
このコラムは前身のLLP(有限責任事業組合日本動産評価フロンティア)から引き継いだものであるが、LLP時代の記事にこんな記事を掲載した。 ハンコというニッポンの文化 https://www.frontier-valuation.com/post/columns190
実のところ、3年半近く経ってはいるものの、評価書を出す際にハンコは完全に省略していない。 評価書の形式は国際評価基準(IVS)に細かい規定はないので、基準が明記されている米国鑑定評価業務統一基準(USPAP)の様式に則って作成している。
USPAPにおいては評価書には「評価人の宣誓書」をつけることとされている。
内容としては、評価については知りうる限り真実であること、公平無私であること、特別な利害関係がないこと、予め結論を決めて行った評価ではないこと、実査の実施について等からなり、最後に評価人が偽りはないことを宣誓し署名をする。
もともとが米国の規定であるため、印鑑は必要とされておらず、署名だけで良い。
とはいえ、デジタル化、ペーパーレス化と言っている状況では、直筆の署名を必要とすれば印鑑と同じことは起こり、一般の会社では署名するために出社ということもありうる。

我々の場合は、全国の評価人が共同して業務に当たるので、もともとがリモートワークのようなもので、最近のネット会議ブームなどを見ると、今更..とも思うくらいだ。 しかしながら、成果物に関しては紙ベースで、評価書の発行に当たり複数の資格者が絡む場合には、直筆の署名の入った宣誓書を送付することにしている。
ここからさらに一歩進んで評価書もペーパーレスにするとなると、ハードルは高い。果たしてこれをやってプラクティス通りの評価をやったと認められるかも定かではないが、ASAのサイトで電子シールが販売されているので、不可能な話では無いように思う。 しかし、急速なデジタル化への流れを考えればセキュアな電子証明書のついたデジタル評価書に移行することもそろそろ本気で考えていかなければならないだろう。 やるなら「今でしょ」である。
(注)この記事は機械設備の公正価値評価(鑑定評価)に関する考察です。不動産鑑定については、不動産の鑑定評価に関する法律で法的な枠組みが決まっているため法律の基準に従った対応になります。
フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰
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