top of page
  • 執筆者の写真Frontier Valuation

高力ボルトは需給逼迫の状況ではない

更新日:2020年3月27日

「高力ボルトの不足」が叫ばれている。 各地で高力ボルトが入手できず、建築工事がストップする等の事態が発生しているという。 このコラムでも先般高力ボルトの不足の記事をエントリしたところ、予想外にアクセスが多かった。

 

災害復旧やオリンピックなどのイベント、景気対策による公共工事増など経済環境の急激な変化による、特定の資材あるいは機械に対する需要の集中はしばしば起こる。

建築関連ではないが、昨年まではマシニングセンタなどの工作機械の需要が急増して品薄感が高まった。増産しようにもボールねじなどの重要部品の供給が追いつかず、納入待ちの長期化などの影響が昨年夏頃まで続いた。 この際にも、部品の発注方法が適切ではないため、実需に比べ発注数が大幅に上回る状況になってしまった。どうやら、高力ボルトでも同じ状況にあるようだ。 建通新聞社が今日配信した記事が伝えている。 高力ボルト需給安定化へ 発注様式を統一(建通新聞)

https://www.kentsu.co.jp/s/n.asp?k=00a1f8e98f9220190517@190517590017

(一定期間経過後は限定公開)   市場で取引にかかわる立場の目線では、数量の確保が至上命題になり、入手するためにはあちこちに注文を出す。1本のボルトを入手したい場合でも10件に出すとする。そうすると市場全体でみると、注文は10本ということになる。ここで需要増だということでメーカーが安易に増産してしまうと大変なことになる。1本ボルトがあればいいのだから、その1本が手に入ればあとのボルトはキャンセルになる。メーカーがオーダー通り10本のボルトを製造すれば、残り9本は在庫として積み上がってしまう。 今回は国土交通省が需給の状況をアンケート調査して、マクロの立場から需給動向を見極めた結果が、需給逼迫の状況に無いという判断になったようだ。安易な増産によりロスが出たり、場合によってはメーカーの経営を脅かすような自体にもなりかねないから、今回の国土交通省の判断は賢明だったと言えるだろう。 もっとも、メーカーも経験則で需要の急増に安易に対応してはいけないということは知っていて、工作機器の需給逼迫の際にもメーカーの腰は重かった。それでもどうしても足りない需要は新興国で生産する形で対応していた。 今回は需給の実態が明らかになったという点で、需要者・供給者両サイドにとって有益なのではなかろうか。

 

【関連記事】


閲覧数:259回

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page