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執筆者の写真Frontier Valuation

時価を知りたがらないのは何故か?

以前、香港人のASA評価人の方とメールでやりとりした際、 「日本では、機械設備などの価値を簿価で代用する習慣が強く、なかなか評価が受け容れられない」 と書いたところ、「どうして時価でないのか。理解できない」と返されたことがある。

評価をやれば手間がかかる、コストがかかるといわれて敬遠されるのだが、 簿価は税法上の減価償却に基づいて求められるのが通常であり、 設備投資促進のため実際の耐用年数より短い期間が設定されるのが通常であるから、 新品以外は評価が低くなることが多い。

価値に対するリテラシーが低いから、M&Aで海外の会社は高値づかみしてしまうし、 海外から貴重な資産を安く買い叩かれてしまう。 失われた20年は価値に対するリテラシーの低さもひとつの要因なのではなかろうか。

不良債権処理で、安く買い叩かれた資産が価格競争力を武器に市場を侵食して 設備投資が阻害されてゆく。その繰り返しだったように思える。

現在は経済が好循環の状況にあるが、必ず後退期は来る。 この時、また同じ過ちを繰り返すのではないか。 今のうちから考えておくべきなのだろうが、そういう議論が起こる気配は感じられない。

時価をしっかり把握する。価値をハッキリ認識する。 そろそろ意識すべき時ではないか。 この先「ハゲタカファンド批判」がまた巻き起こるようであったら、 過去の反省が今回も活かされなかったということになる。

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